【尿検査でわかること】尿試験紙法!基準値や異常値を示す原因を解説

検査

こんにちは、薬剤師ちょこ(@yakuzaishi.choko)です。
このブログでは、薬剤師さんや医療従事者の方に役立つ情報を発信しています。

今回は、尿一般検査の「尿試験紙法」の10項目について説明します。

尿検査は、尿の性状から腎臓、尿路や代謝などの病的状態が把握でき、健康診断や体調不良で病院を受診した時などに行います。

尿一般検査の種類
  • 肉眼的所見
  • 尿試験紙法
  • 尿沈渣

今回は、その中で尿試験紙法について説明します。

この記事でわかること
  • 各尿検査ではどんなことがわかるのか
  • 基準値は?
  • 健康でも検査が陽性になる事例
ちょこ
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それでは、解説していきます!

尿の簡易検査法である尿試験紙法

尿試験紙法は、尿の簡易検査法で尿試験紙を試験紙に浸して反応させ、呈色度を色調表と比較して判定します。

この記事で解説する10項目

尿糖、比重、潜血、pH、蛋白、ケトン体、ビリルビン、ウロビリノーゲン、亜硝酸塩、白血球

基準値や反応で推測できる病気の可能性健康でも陽性になる場合などを説明します。

ちょこ
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参考にしていただければと思います。

① 尿糖

尿糖は、糖尿病かどうかの可能性がわかります

基準値は、陰性(-)で、(±)は要注意、異常は(+)

異常値を示す主な疾患は、糖尿病の他に、甲状腺機能亢進症腎性糖尿などがあります。

甲状腺機能亢進症・・・甲状腺が活発に活動し血中に甲状腺ホルモンが多く分泌される病気でバセドウ病とかグレーブス病ともいわれます。

腎性糖尿・・・血糖値は正常ですが腎臓の一部の機能が弱いために尿中にブドウ糖が出てくる状態を指します。

尿糖は、健康であっても妊娠中や中高年女性は糖が出やすく、若くても疲れている時やストレスで糖が出る場合もあります。

② 比重

比重は、尿中の溶解成分の含量を示す値で腎機能を表します。

基準値は、1.006~1.030

参照:日本人間ドック学会

比重が低値だと、慢性腎臓病、急性腎障害、腎盂腎炎、尿細管性アシドーシス、尿崩症、低K血症、高Ca血漿などが推測されます。

腎盂腎炎・・・腎臓に細菌が感染する病気です。

尿細管性アシドーシス・・・腎臓の機能障害により尿中への酸排泄が障害され、酸血症を生じる症候群です。

尿崩症・・・尿量を調節するホルモン(ADHやバソプレシン)が上手く働かない事によって、大量に尿が出てしまう病気です。

比重が高値だと、糖尿病ネフローゼ症候群などが考えられます。

ネフローゼ症候群・・・尿に蛋白が沢山出てしまうために、血液中のたんぱくが減り(低たんぱく血症)その結果むくみ(浮腫)が起こる疾患です。

尿比重は、水分を多くとった後は低い数値が出たりと、変動するので一時的なら心配いりません。

他にも、利尿剤服用中は低い数値が出たりします。反対に、下痢や嘔吐、脱水を起こしている時は高い数値が出やすくなります。

③ 潜血

潜血は、実際には見えなくても尿に血(赤血球)が混ざっている状態です。

腎臓や膀胱から出血している可能性があります。

基準値は陰性(-)で、要注意は(±)や(+)、異常値は(2+)以上

異常値だと、糸球体疾患や尿路結石、尿路感染症、尿路腫瘍、尿細管間質性腎炎など尿路の病気や、ヘモグロビン尿、ミオグロビン尿などの可能性があります。

生理前後は、陽性と出る事がありますがそんな時は、再検査を受けてみると良いでしょう。

ちょこ
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一過性なら心配ありません。

④ pH

ちょこ
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尿のpHを調べます。

基準値は、6前後

pHは食べた物で酸性に偏ったりアルカリ性に偏ったりするので厳密に6というわけではなく、5.0~8.0くらいです。

肉食だと酸性に、菜食だとアルカリ性に傾きます。

このように食事で変動するので一時的な数値ではなく継続的にどうなのかを見ていきます。

継続的に酸性だと、腎疾患や糖尿病、痛風が考えられます。
発熱や脱水でも酸性に傾きます。

継続的にアルカリ性だと尿路感染症が考えられます。
過呼吸や嘔吐時もアルカリ性です。

⑤ 蛋白

尿蛋白は、腎臓病の疑いをみます。

基準値は、陰性(-)で、要注意は(±)や(+)、異常値は(2+)以上

異常値で考えられる病気は、腎盂腎炎、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎など多くの腎疾患や、膀胱炎や尿道炎などの尿路疾患の可能性があります。

また溶血性貧血の可能性もあります。

溶血性貧血・・・貧血の一種で血管の中を流れる赤血球が破壊される事(溶血)により起こります。

ただ尿蛋白は、発熱時や激しい運動、厳しい寒さ、ストレス、多量の肉食、生理前、入浴後などもでやすく、子ども〜20代ぐらいまでは、腎臓の位置の関係で健康でも蛋白尿が出やすい場合があります(体位性たんぱく尿)。

⑥ ケトン体

栄養が十分に摂れているかわかります。

下痢、嘔吐など胃腸の消化吸収のトラブル時でも出ます。

基準値は陰性(-)

ケトン体での異常値は、管理が良くない重症糖尿病、内分泌疾患などで出ます。

他には、飢餓状態、高熱などでも出たりします。

その他、妊娠や、ストレス、過度のダイエットでも異常値が出ます。

⑦ ビリルビン

ビリルビンとは、赤血球に含まれる黄色い色素で胆汁に排泄されます

ビリルビンは、肝臓の機能を示す数値の一つです。

他には胆道閉塞などの可能性もあります。

基準値は陰性(-)

ビリルビンが異常値だと、肝炎や肝硬変など肝障害や、胆石症や胆道閉塞などの可能性があります。

⑧ ウロビリノーゲン

ウロビリノーゲンとは、ビリルビンが体内で分解されて尿中に排泄されたもので、ビリルビンの上昇と連動して増加します。

ビリルビンは、肝臓の機能を示す数値の一つです。他には胆道閉塞などの可能性もあります。

健康な状態でもわずかに排出されているため、基準値は弱陽性(±)

大量に出たら肝障害を疑います

異常値が(+)の場合、肝炎、肝硬変、肝がんなどの肝障害、溶血性貧血など

(-)の場合、胆道閉塞、閉塞性黄疸などが考えられます。

飲酒が続いたり、肉食の後、激しい運動直後や疲労時、便秘の時なども陽性を示す事があります。

⑨ 亜硝酸塩

亜硝酸塩は、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症のスクリーニング検査として用いられます。

細菌が亜硝酸塩を産生することにより、尿路感染症では亜硝酸塩が陽性となります。

ただし、尿路感染症を発症してすぐは陽性とならない事もあります。

基準値は、陰性(-)

他には、尿採血時に、尿を放置していると出る事もあります。

⑩ 白血球

白血球がでたら亜硝酸塩と同じく、腎臓や尿路に炎症がある可能性があります。

基準値は、陰性(-)

尿路感染症の他には、尿路の腫瘍や結石など尿路の炎症性病変の時も陽性になります。

また、アレルギーがあったり薬の影響でも陽性になる事があります。

まとめ

この記事では、尿一般検査の中でも尿試験紙法について解説しました。

尿試験紙法は、尿の簡易検査法で尿試験紙を試験紙に浸して反応させ、呈色度を色調表と比較して判定します。

この記事で解説した10項目

尿糖、比重、潜血、pH、蛋白、ケトン体、ビリルビン、ウロビリノーゲン、亜硝酸塩、白血球

基準値や反応で推測できる病気の可能性などついてまとめました。

参考になったら嬉しく思います。

※参考文献
・医療情報科学研究所(編)「病気がみえる⑧」株)メディックメディア2020年7月8日第3版発行

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